父が残してくれた写真

私の父は若い頃カメラマンを目指していました。当時はカメラも今ほど普及しておらず高価なものだったそうですが働いたお金を貯めカメラを購入し独学でカメラの知識を学んでいたそうです。結局プロのカメラマンにはなれませんでした。サラリーマンとして働き母と結婚し私と弟ができました。父はカメラを撮るのが好きでした。私たち兄弟が小さかった時や入学式や卒業式などの行事ごと、旅行に行った時、普段何気ない風景を撮るのが好きでした。私も結婚し子供が生まれると父は孫の写真も撮っていました。私もそんな父の影響で写真を撮るのが好きでしたが、最近では携帯電話のカメラ機能の性能が上がりもっぱら携帯のカメラで写真を撮ることが多かったです。そんな私の姿を見て父が言うのは「カメラで撮る写真には命が宿る」という台詞でした。父の考えもわかるのですがそれでも文明の利器には敵いません。そんな父も昨年なくなってしまいました。亡くなった後家族で父の残した写真を見ているとそこには当時の思い出が蘇ってきて家族みんなで笑い泣きながら見ていました。たしかに父の写真には命が宿っていました。